商業施設の来場者数を増やすための戦略とは?顧客体験を高めるポイントを解説
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商業施設が利用者との接点を増やすべき理由

現代の商業施設を取り巻く環境は、消費者の価値観の変化やデジタル技術の進化により、大きく変化しています。このような状況で商業施設が生き残り、成長し続けるためには、情報発信や来場促進のあり方を再構築することが不可欠です。多くの施設がなぜ今、情報発信や来場促進の方法を見直しているのでしょうか。その背景にある3つの重要なポイントを解説します。
モノ消費からコト消費への移行
かつて消費の中心であった「モノの所有」に対する価値観は薄れ、現代の消費者は「そこでしかできない体験(コト消費)」を重視する傾向にあります。特にSNSの普及により、人々は自分の体験を他者と共有することに喜びを見出すようになりました。商業施設は単に商品を販売する場所から、感動や発見、学びといった付加価値の高い体験を提供する場所へと役割を変えることが求められています。
オンラインでは得られない体験価値の提供
ECサイトの利便性が向上し、いつでもどこでも買い物ができるようになった今、商業施設は「わざわざ足を運ぶ理由」を明確に提示する必要があります。それは、オンラインでは決して得られない、五感を刺激するリアルな体験価値です。例えば、魅力的なイベントや心地よい空間、スタッフとのコミュニケーションなどが挙げられます。これらの体験が、来場者にとって施設を訪れる強い動機となります。
多様化する来場者ニーズへの対応
来場者のライフスタイルや価値観はますます多様化しています。ある人にとっては買い物の場、ある人にとっては憩いの場、またある人にとっては交流の場として、商業施設に求める機能は一人ひとり異なります。すべてのニーズに応えることは困難ですが、自施設のターゲットとなる顧客層を明確にし、その来場者層に深く刺さるサービスや環境を提供することが、顧客ロイヤルティを高める上で極めて重要になります。
体験価値を高める商業施設のプロモーションアイデア5選
来場者に「また来たい」と思わせるためには、記憶に残る「体験価値」の提供が鍵となります。ここでは、商業施設で実践可能な、体験価値を高めるための具体的な話題化・来場促進のためのアイデアを紹介します。
季節感やトレンドを取り入れた参加型イベント
親子で楽しめるワークショップや、地域と連携したフェアなど、来場者が自ら参加して楽しめる企画は満足度を高めます。特に、季節ごとのテーマや流行のキャラクターとのコラボレーションを取り入れることで特別感を演出し、施設全体の話題化に繋がります。完成した作品や楽しんでいる様子がSNSで共有されれば、自然な形での口コミ効果も期待できます。

施設全体の回遊性を高めるスタンプラリーや謎解き
来場者が施設内の様々な店舗へ足を運ぶきっかけを作るためには、回遊性を促す施策が有効です。スマートフォンアプリを活用したデジタルスタンプラリーや、施設全体を舞台にした謎解きイベントは、ゲーム感覚で楽しみながら館内を巡ることを促進します。これにより、今まで知らなかった店舗との出会いが生まれ、各テナントと来場者のエンゲージメント(愛着や結びつき)が深まります。こうした顧客との関係性の構築が、結果として施設全体の売上向上に繋がります。
限定感を演出するポップアップストアや物産展
地域の特性や、そこに集う人々のライフスタイルを深く理解し、その感性に「寄り添う」企画こそが、来場者の心を動かします。話題のEC サイト限定ブランドが出店するポップアップストアや、北海道物産展のような地域色豊かな催事は、普段施設を訪れない新しい来場者層を呼び込む絶好の機会です。これらの催事は、来場の目的となりやすく、高い集客効果が期待できます。
SNSでの拡散を狙うフォトジェニックな空間演出
施設の空間そのものを魅力的に演出し、「わざわざ行きたくなる場所」にすることも重要です。季節感あふれる美しいイルミネーションや、アート作品、思わず写真を撮りたくなるようなフォトスポットの設置は、SNSを通じた自然な発信効果を生み出します。魅力的な空間は、来場者の滞在時間を延ばし、ブランドイメージを高める効果もあります。
来場者の居心地を高めるサードプレイスの提供
現代の商業施設には、自宅や職場とは異なる、居心地の良い第三の場所(サードプレイス)としての機能が求められています。特に、小さなお子様連れのファミリー層やシニア層にとって、快適な休憩スペースは施設選びの重要なポイントです。無料Wi-Fiや電源が完備されたラウンジ、清潔で安全なキッズスペースなどを整備することで、来場者満足度は大幅に向上し、リピート利用に繋がります。
来場者との接点を増やす商業施設のデジタルマーケティングアイデア5選

現代の集客戦略において、デジタル技術の活用は避けて通れません。オンラインとオフラインをシームレスに繋ぎ来場者との接点を増やすことができる、情報発信・リレーション構築のためのデジタル施策を紹介します。
SEO対策で潜在来場者にアプローチする
SEO(検索エンジン最適化)とは、「地域名+イベント」のようなキーワードで検索された際に、自施設の公式サイトを上位に表示させるための対策です。公式サイトでイベント情報やテナントの最新ニュースを継続的に発信することで、広告費をかけずに来店意欲の高い潜在来場者へアプローチできます。これにより、施設の認知度を持続的に高めることが可能です。
ファンを育てるSNSマーケティング
SNSは、来場者と直接コミュニケーションを取り、施設のファンを増やすための強力なツールです。新商品の情報発信だけでなく、ハッシュタグキャンペーンやインフルエンサーを起用したプロモーション活動を行うことで、情報の拡散力を高め、施設の魅力をより多くの人々に届けることができます。さらに、こうした活動を通じて、SNSやプラットフォーム上で自社のサービスについての会話量(言及数)そのものを増やしていくアプローチも欠かせません。双方向のコミュニケーションを通じて、来場者との信頼関係を築くことが重要です。
リピート率を高める自社アプリやメルマガ
自社アプリやメールマガジンは、一度来店した来場者との関係を維持し、再来店を促すリピーター化施策に非常に有効です。
アプリのプッシュ通知によるタイムリーな情報配信や、購買履歴に基づいたクーポンの提供はもちろん、アプリ起動時に旬な情報を伝える「ポップアップ画面」の活用や、初回利用時にメリットを分かりやすく伝えて定着を促す「オンボーディング」の設計も欠かせません。 これらを組み合わせることで、来場者一人ひとりに寄り添ったきめ細やかなアプローチが可能になり、ロイヤルティの向上に繋がります。
オンラインとオフラインを融合させるOMO戦略
OMO(Online Merges with Offline)は、オンラインの利便性とオフラインの体験価値を融合させ、来場者体験を向上させる戦略です。例えば、アプリで事前に注文した商品を店舗のロッカーで受け取れるサービスや、店頭のQRコードを読み込むと商品のレビューが見られる仕組みなどが挙げられます。これにより、来場者はよりスムーズで快適な購買体験ができ、満足度と販売機会の最大化が期待できます。
タイムリーな情報発信を可能にするデジタルサイネージ
デジタルサイネージ(電子看板)は、施設内の様々な場所で、動画や音声を活用してタイムリーな情報を発信できるメディアです。
エントランスではイベント告知を行う一方で、各フロアでは季節のおすすめ商品や、来店時間帯に合わせたポイントアップキャンペーンなど、その時々の状況に即した情報を配信します。単なる値引きセールにとどまらず、現代の来場者が求める多様な「お得」情報を柔軟に提示し、場所や時間に応じて表示内容を最適化することで、来場者の注意を引きつけ、目的の場所へと効果的に誘導することが可能です。
SNSやデジタル発信を活用した施設のブランディングにお悩みではありませんか?サニーサイドアップでは、オンラインとオフラインを融合した情報発信戦略を通じ、施設の認知拡大やファン形成を支援しています。効果的な発信施策のご相談は、下記フォームよりお気軽にお問い合わせください。
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ファンを増やす商業施設のコミュニケーション戦略2選
キャンペーン目的、お得目的の集客など一過性の集客で終わらせず、長期的に施設を愛してくれるファンを増やすためには、周囲との連携が不可欠です。施設単体ではなく、テナントや地域社会と共に成長していくための方法を2つ紹介します。
テナントとの連携による相互送客キャンペーン
施設と各テナントが協力し合うことで、大きな相乗効果が生まれます。例えば、アパレル店で購入したレシートを飲食店で提示すると割引が受けられるといった相互送客キャンペーンは、来場者の回遊を促し、施設全体の売上向上に貢献します。定期的にテナントとの意見交換会を開き、現場の声を活かした合同キャンペーンを企画することが成功の鍵です。
地域社会と連携したイベントの開催
商業施設が地域社会の一員として、その活性化に貢献することも重要です。地元のお祭りに協賛したり、地域の農家を招いたマルシェを開催したりすることで、地域住民との絆が深まります。
また、こうした活動を行う上では、そのエリアに住む人々や訪れる人々にとって「自分たちはどのような存在でありたいか」、そして「どのような印象を心に残したいか」という視点を持つことも欠かせません。 このようなPRやマーケティングの観点を持って地域から愛される存在になることは、競合施設との差別化に繋がり、持続的な集客の基盤となります。
集客施策を成功に導く3つのポイント

どんなに優れたアイデアも、計画的に実行し、改善を続けなければ成果には繋がりません。集客施策を成功に導くために、必ず押さえておくべき3つの重要なポイントを解説します。
ターゲットとなりうる来場者を明確に設定する
施策を成功させるためには、「誰に喜んでもらいたいか」を具体的に設定することが第一歩です。例えば、「近隣に住む未就学児のいるファミリー層」のようにターゲットを明確にすることで、企画の方向性が定まり、メッセージがぶれることなく、効果的な訴求ができます。

データに基づいた効果測定と改善を行う
施策を実施した後は、その効果を必ず検証しましょう。来場者数のデータ・売上データ・アプリの利用状況・SNSでの反響などを分析し、計画段階で設定した目標が達成できたかを評価します。勘や経験だけに頼らず、客観的なデータに基づいてPDCAサイクルを回し続けることが、施策の精度を高め、成功し続けるための鍵となります。
一貫性のある年間販促計画を策定する
単発のイベントを無計画に行うのではなく、年間を通じた一貫性のある販促計画を策定することが重要です。
春の新生活応援・夏のセール・秋の食欲の秋・冬のクリスマスといった定番の季節イベントに加え、昨今であれば「SDGs」や「ウェルビーイング」、「推し活」といった社会的なトレンドや、地域の特性を活かした独自のテーマも戦略的に組み合わせ、年間スケジュールを組み立てます。これにより、計画的な予算配分とリソース確保が可能となり、より質の高い施策を継続的に実施できます。
まとめ
本記事では、現代の商業施設に求められる代表的な集情報発信・来場促進施策を紹介しました。消費者のニーズが多様化する中で最も重要なのは、オンラインでは得られない「特別な体験価値」を提供し、来場者との長期的な関係を築くことです。 各施設の特徴や地域性を活かした発信施策を通じて、「選ばれる商業施設」を目指しましょう。
サニーサイドアップでは、施設の特性や立地、ターゲット層に合わせた最適な情報発信戦略やプロモーション施策設計支援が可能です。「話題化」から「来場促進」まで、施設価値を高める広報・コミュニケーション支援をご希望の方は、ぜひお問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。